社会への提言
2018年5月 パワハラ・セクハラ告発の広がり-予防を考えましょう-
弁護士の仕事の中で、女性に対するパワハラとセクハラの混じった事案の相談が多くなっています。会社・大学・官庁などのあらゆる所で、調査委員会などの手続きが行われています。しかし、現在のこの調査委員会のやり方について、基本的に十分な理解がされているとは思えません。今回の財務省次官とテレ朝の事案が良い例です。女性が訴えてきたとき、上司は、事実かどうか判断に迷います。テープがない場合が多く、なおさら分からなくなります。調査委員会などの手続きをしても、男性の言い分もあり、事実確認も完全にはできず、うやむやになることが多いといえます。女性の側についても、暴力でない限り、なぜ早く申し出ないか、リスクのある状況を避けられなかったのか、との疑問も起こります。そこで、このようなグレーな状況、疑われる状況を起こしたこと自体を問い、予防しなければ成りません。いわば、裁判官が不公平と思われる態度をとってはいけないというのと同じです。セクハラに至る前におかしな行動をとる人がいたら、すぐ注意して予防することです。セクハラを疑われる怪しい行動だけで、周りで見ていて放置した人、相談されても突き放す人にも責任があることになります。そして、既婚の男性は、女性部下1人を夜誘ってはならない、などの職務規程を作るべきで、このような環境を整えない代表者も責任があることになります。重要なことはパワハラやセクハラが起きない環境を整えることです。多くの関係する方々に今後起こらないように予防の考え方を広めることが重要となります。
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