社会への提言
2018年4月 モリトモ文書の改ざん―公務員の責任は民間人より重いのか?―
公務員が自分の名義で自分で作成した文書を後で書き換えたら、犯罪となるのでしょうか。マスコミでは犯罪と扱っていますが、文書偽造とは言わないで、「改ざん」というのはなぜでしょうか。実はAがBの名前を語って文書を作るのを文書偽造罪と言い、今回の改ざんはこれに当たりません。AがA名義の文書を書き換えるのを虚偽文書作成罪と言い、これを「改ざん」と略して、犯罪だとしています。公務員の場合はいずれも刑罰です。しかし、民間人AがA名義の文書を書き換えても、虚偽文書作成罪に当たりません。例えば、請求書や見積書の日付や金額を変えてしまうこと、決算書の売上を税務署には安く、銀行には高くして出すために書き換えることなど、少なくありませんでしたが、刑罰から除外されてきました。つまり、公務員だけは偉い人で、民間人と違うから罰せられることになっています。しかし今や公務員はほとんど民間並みです。差別しては不平等とも言えます。明治時代にドイツ刑法をまねて作った条文は古くなり、社会にあわなくなっています。すなわち、逆に民間の銀行や大会社は今や公的な機関と言われるように社会的役割が高まっています。例えば、銀行融資先会社が反社会的勢力だと分かり、銀行が慌てて会社名を書き換えたら、虚偽文書作成罪としてもいいのではないかと思います。結論としては、虚偽文書作成罪は、公務員も民間人も平等に、但し重要な文書について実害がある場合に限定して、罰するよう法改正した方がよいでしょう。
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