社会への提言
2017年5月 教育の無償化へ ―教育の質の向上を
6ヶ月前にこのコラムで、教育の無償化を唱えました。保育園や幼稚園から大学までの教育の無償化を主張しました。その後、各方面で一気に高等教育の無償化の議論が始まりました。大変結構なことです。既に、公立高校の無償化は実現できています。私立高校まで全ての授業料を、無料にすべきでしょう。義務教育の延長と考えれば、所得制限は不要でしょう。他方で大学や大学院へ進む能力や意欲のある人には、所得制限をつけつつ、一定の成績をとることを条件に、多くの学生に授業料を免除するなどの方策をとることから始めるべきです。 問題は、教育の質の向上です。日本では、前から大学進学率も高まっています。しかし、日本赤軍、オウムサリン事件などでは、一流大学の多くの学生が犯罪を犯しました。また、いわゆるポピュリズム(大衆迎合)が広まっているのも、学んだ成果を忘れて、情緒が優先するからです。日常のことですが、私が大規模マンションの理事会で理事として、常識的な提案をしても、まともな議論もできません。いったいどんな教育がされているのかと思います。 まず、日本人は議論をする仕方が下手です。情報を収集して、分析して、自由な議論をするという基本が出来ていません。何より、自分の狭い経験で、感じたことを述べるだけで、全体の利益を考えないという欠点があります。 つまり、社会の動向に合わせて、ささやかでも社会貢献をしようとする人間を育てるという教育理念が全く貫かれていないからでしょう。教師も含めて、大いに議論をして、互いに成長していくことが理想です。そのような意欲のある人たちのための、有益な教育無償化は今からすぐに少しずつ進めるべきで、憲法改正を待つ必要はないはずです。憲法9条改正と一緒にすると、いわば抱き合わせ販売と同じになり、不公正な手続とみなされてしまいます。
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