社会への提言
「最高裁の改革と司法修習の廃止を」
新聞紙上において、指宿教授らをはじめとする有識者の皆様の「冤罪」防止の再三の提言は、世界の常識となっているのに、なぜ日本では実現しないのでしょうか。これは、最高裁と検察庁が現行の制度と実務を盲目的に肯定し続けて、頑なに制度改革に反対し続けているからです。今こそ、各政党は協力して国民のための司法改革の方針や法案を成立させるべき時がきました。
第1に、最高裁の判事を弁護士、学者、マスコミの出身者で過半数とするように内閣が任命すべきです(憲法79条)。役人が7割~8割を占める最高裁は、「冤罪」を産み続けてきたばかりか、被害者救済のための民事手続改革も放置し、一票の格差、非嫡出子の相続分などで憲法上の平等権を無視した判決を出し続けてきました。欧米で多くの法令や処分が憲法違反とされ、法の改革が進んだのに、日本の法の停滞は目をおおうばかりです。この方針が通れば、検察官の横暴を防止し、外国の制度を参考に、民意を反映する司法全体の改革は大きく進みます。
第2に、1年間の司法修習(裁判所法67条)を廃止して、司法試験合格後全員に2年間の有給の弁護士研修を義務付ける法案を作りましょう。英国、カナダの制度であり、裁判所や検察官になる前に必ず弁護士を経験するので、民意を反映できる法曹一元(弁護士から裁判官・検事になる制度)への大きな一歩となります。現在、問題となっている修習生についての給与制も貸与制も必要なくなります。ヨーロッパの司法修習生には権限が与えられ、業務をしているので有給です。日本の修習生は、何らの権限も付与されず、必ずしも充分には働ける整備はされていないのに、有給にしろというのは、世界に類のない非常識な主張といえます。他方で、検察修習では、法的根拠のないままに検察官としての身分と等しい立場で取調修習を強制させられてきました。これに対して、一部の修習生は、違法な修習として拒否しました。現行実務の取調が冤罪の温床となっていたことを批判したのです。
しかし、多くの法曹は、可視化されていない取調も必要悪だと思いこまされてきました。司法修習制度は、人質司法(否認すると保釈されない違法な運用)と批判されている、現行の悪しき実務をすりこむ機能をもち、これに最も忠実な者を成績優秀な者として裁判官、検察官を1本づりする制度です。数年前に法科大学院の創設の議論を進めた際、法科大学院卒業後、司法修習に費用と時間をかけられないことは分かっていました。よって、司法修習を廃止し、そのことにより法曹一元の第一歩を踏み出すべしとしたのが、司法改革審議会へ提出した第二東京弁護士会の提言でした。日弁連と各政党は、当初の計画通り、法科大学院の教育により養成された多様な人材を弁護士として社会の隅々まで入り込ませるために、つまり、国民の利益のために、官僚司法の改革に向けて司法修習の廃止を実現するべきです。
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