社会への提言
2010年9月 特捜検事の証拠隠滅は氷山の一角 証拠開示と取り調べ可視化へ
村木さんの無罪が確定しました。特捜検事の証拠隠滅が発覚し、逮捕され、検察上層部まで激震が走っています。検察関係者や評論家は「前代未聞」の事件だと絶句しています。本当にひどい事件で、あり得ないことだと言わんばかりです。しかし、このような事件は氷山の一角というべきです。この事件の背後には、同じような事件がたくさんあり、表面化していなかったとみなければいけません。
私自身の経験でも、警察官による証拠隠滅事件を経験しました。自分では痴漢の被害者という会社勤めの女性が、「電車の中で痴漢に触られる」と地方にいる学生の恋人に嘆いたところ、恋人が週末来ては、優しく慰めてくれ、月曜日には電車に一緒に乗ってくれました。そのときは、痴漢は現れません。女性は水、木になると痴漢が現れると電話すると、恋人がまた週末やってきました。恋人が月曜日に電車に乗るとまた現れません。恋人は自分の手におえないと考え、2人は警察に被害届を出し、痴漢は「整髪剤で整えた感じの男」だと告訴しました。警察官は親切にも毎回3、4人が5回も埼京線に乗ってくれました。しかし、痴漢は現れませんでした。6回目にやや混んでいたため、その女性に触っていることを現認できなかったにもかかわらず、隣にいた男性を逮捕しました。その男性は半分くらいハゲていました。そこで警察は、「整髪剤を整えた感じの男」との初めの被害届を抜き取り、検察官には送りませんでした。明らかな証拠隠滅です。そのため検察官はその重要な被害届けをみないまま、取り調べをし、自白を強要しました。10日も勾留され、早く会社に行かなくてはならない男性から供述調書をとりました。女性は男性を賠償請求しました。裁判では証拠隠滅が明らかになりました。しかし、民事裁判官はこの事実を知りながらも、警察の行為を非難すると出世にかかわると考え、男性に賠償を認める判決をしました。司法が腐っていると言われるのもやむを得ません。出世ばかり考える裁判官を、上だけをみる魚のヒラメと言う所以です。そこで、このような度重なる悪事を防ぐには、すべてをオープンにする必要があります。つまり、今までの密室における捜査や証拠隠しをやめるようにシステムを変えなければなりません。
村木事件において、なぜ刑事裁判の最中に証拠隠滅が分からなかったのでしょうか。検察官がすべての証拠を開示しないからです。すべての証拠が開示されていれば、裁判中にこの証拠隠滅が分かったわけです。米国では刑事でも民事でも、裁判では証拠の全面開示がされています。ディスカバリーといいます。
また、村木事件で起訴前にビデオを撮るなど取り調べの可視化がされていれば、上司の人も強引に誘導された供述をせずに、村木さんの起訴すらもなかったといえます。米国「美人検察官アナベス」のドラマを見れば一目瞭然です。取り調べるときに必ず自分の横にビデオカメラを置いています。米国では完全可視化ができています。証拠前面開示と取り調べの可視化をしない限り、日本における冤罪事件はなくならないといえます。裁判員も騙されてしまい、裁判員も冤罪の共犯とされてしまいます。
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