社会への提言
2011年2月 一部の者の逮捕では役に立たない-警察・建設は政治、選挙、市場、医療に不介入で-
民主党の小沢一郎前代表が、刑事事件の被告人として起訴されました。犯罪者として扱われることになります。このようなやり方は正しいのでしょうか。新聞ではどちらが勝つか、面白おかしく扱っています。まるで、ローマのコロッシウムの殺し合いを見るようです。
かつて田中角栄などの政治家、最近では鈴木宗男議員などが犯罪者とされました。経済事件ではホリエモンや公認会計士、医療界では医師が起訴され犯罪者とされました。安田弁護士もやり玉にあげられました。このようなやり方は後進国並みの、まことに原始的なやり方と言わなければなりません。殺人、強姦、窃盗などのいわゆる自然犯を別にして、政治家、経済人、医師、公認会計士らを刑事事件にするべきではありません。別の方法によるべきです。
例えば、小沢一郎氏については、民主党を除名するなど民主党の自律的運営によって、責任を取らせるならば、刑事事件にする必要はないのです。鈴木宗男議員にしても、過去の貴重な情報を公開すること、そして私的な利益を得た分については金銭的賠償をすることにより、刑事事件を免責させることも出来ました。また、ホリエモンについても東京証券取引所のルールにより、粉飾会計を公表するなどの措置をとることが出来たはずです。すなわち、刑事権力が介入する前に、団体の運営により事件を情報公開し、事件を防止することが出来たわけです。国民は刑事権力に頼らず、自分たちの力、自分たちの所属する団体により、犯罪を未然に予防し、そして情報を公開し、社会を運営する必要があります。
警察や検察は、政治、選挙、市場、医療に対して介入すべきではありません。すなわち政治家、経済人、医師、公認会計士などを刑事事件とすべきではありません。いわゆる粗暴犯の事件とは異なり、政治、経済、または医療のシステムが健全に維持されることが目的であり、一部の者を逮捕したとしてもなんら役に立たないからです。それらのシステムは多数の人の関与で成立し運営されているものであり、その秩序を維持させるためには、それぞれのグループ、団体が自律的に規律していくことが妥当です。最も大きな違反をした者だけに、刑事罰を科すやり方もありますが、必ずしも上手くいくものではありません。警察や検察が医療や会計に詳しくないことは当然のことです。ホリエモンと日興コーディアル証券のどちらが悪質かということも、当然わからない。本当に悪質かということも充分検討しないままに、ホリエモンを逮捕しています。志布志湾事件では狙いを定めて選挙違反に仕立て上げましたが無罪となりました。村木事件でも高級官僚を狙ったものの、無罪となりました。仮に政治家、経済人、医師を起訴したところで、9割の有罪をとることは極めて困難です。なぜなら、刑事事件では、黒(9割)にしなければ有罪とできません。民事では灰色(51%の証拠の優越)でも被害者が勝訴し、違法行為をした者に制裁をできます。それ故疑惑を持たれた小沢一郎民主党前代表などが、民主党から除名される形での制裁ならば、9割の立証は必要ないわけです。ホリエモンも市場売取り引きや粉飾決算の疑いがあり、51%の証拠があれば、その団体からの制裁を受けることもやむをえないことになります。医師も医療過誤について9割の立証をしてまで無理に刑事事件にすることは必要ではなく、51%の証拠をもって民事制裁あるいは医療法の戒告処分によることはできます。政治、選挙、市場、医療、会計の分野ではそもそもなにが正しくて、なにが間違っているのかすらもはっきりしません。どのようなシステムを作るか、またどのような社会を目指すかを議論することが重要です。良いルールを作り、その中で、ルール違反を見つけ、または、暴走を止める、ということは必要となります。
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