社会への提言
2013年10月 東大教授 井上達夫先生殿 「憲法9条全文削除の先は何か」
井上先生は、世界的に有名な法哲学者で、多数の著書を出され、幅広く意見を発信されています。平成25年10月26日、朝日新聞オピニオン欄で井上先生は「9条の全文削除で甘えを脱却、いざ民主主義の闘技場」、「タカ派の平和ボケ、護憲派の他人頼み、己の欺瞞を省みよ」と主張されました。改憲派は「米国と共に集団的自衛権を行使するために積極的に軍隊を増強する」ということであり、護憲派は「消極的に米軍の傘の下で過ごす」ということになり、いずれも独立国家としての憲法のあり方を真剣に考えていないというのです。しかし、井上先生の9条全文削除の後に何があるのでしょうか。私は既に5年前に自衛隊に代わるものとしての平和維持隊の新設を公表し、この欄でも紹介しました。日本が主体的に日本の安全を守り、拉致を防止し平和を維持するためには、国民一丸となって平和維持隊を創設しなければなりません。自分の国は自分で守る、すなわち全国に平和維持隊の基地を作り、18歳から1年間全員が入隊し、無償で国防と防災のために貢献することです。これは、スイスや韓国のモデルです。大学のようなもので、暴力のない巨大なトレーニングセンターです。自衛隊の正規の職員を3分の1にまで減らし、テクノクラートとトレーニングコーチに集約する。10年ないし20年すればすべての卒業生が予備隊となり、国民一丸となった独立の戦力を示すことができます。
それでは現在の自衛隊ではなぜダメなのか。それは政治主導またはシビリアンコントロールができないからです。職業軍人だけの巨大軍部の独走は極めて危険です。あくまで専守防衛を原則とし、例外的に海外での集団的自衛権の行使をする場合には、十分な議論をした上で、国民の責任と判断で行うことになります。この構想は厳格には憲法改正を要しますが、改正論議をしつつも、試行として10年、20年をかけて徐々に進めてしまうことがよいでしょう。米軍基地も徐々に縮小できます。また、軍隊の情報はより透明化され、経費の削減にもつながるので財政の改善になります。
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