社会への提言
特定秘密をソフトローで具体化せよ『特定秘密保護法』
特定秘密保護法が成立し、大きな社会問題になっています。戦前に戻ったような、暗い世になった。秘密として特定するべきかについて、議論自体ができないとの強い批判があります。また、法案を公にしてから、極めて短期に国会を通過させたことが、異常なやり方だと批判されています。国会周辺のデモも行なわれています。他方で、防衛や外交の秘密は既に存在してきたし、特に重要な情報は特定して秘密にせざるを得ないことも、やむをえないと考えられています。しかし、対立が生じてしまったのは、いつまで秘密にすることが必要かという重要な議論が抜けたからです。例えば、9.11のときに、米国政府は臨時に場所を移転したと言われていますが、これは当然、テロ対策として必要な秘密で、犯人逮捕後、事件終了により、公表して構わないわけです。また、自衛隊が緊急発進し秘密にしたとしても、作戦の成功後には、公表することになります。このように、考えてみれば、秘密指定は極めて短期間のことも多いわけです。法律では、5年までの期間で指定するものとしています。つまり、5年以内で、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、3年など具体的に決めていくことができます。また、状況の変化により、1年だったものを早めに3ヶ月で解除してしまうということもできます。このような、細かい運用を公表し、国民の理解を得ておけば、今回のような大きな対立にならなかったものと思われます。新聞には、抽象的な対立のみで、項目毎の指定や解除の具体的な期間の議論は全く紹介されていません。私が常々主張しているソフトローの扱い方がわかっていないと言わざると得ません。「神は細部に宿る」とは、ドイツの建築家の言葉ですが、法律の世界にもぴったりあてはまると思います。