印紙税の廃止 ―時代の流れと共に―
多くの事業者の皆さまは、印紙税についての不満を強くお持ちと思います。印紙を貼るのは、煩わしいし、どこまで貼れば良いのか分からないから、やめてほしいといわれています。例えば、商品やサービスの取引が大きく進み、DX化が拡大しています。レジなどの機器から印字された膨大な記録紙についても、印紙税を徴収するとのいきすぎが行われています。そのような時代に遅れた印紙税について、経団連、商工会議所、税理士会は、以前より印紙税の廃止を提言してきました。取引についての課税という点で、消費税、物品税などと二重課税になるとの理由を挙げています。このように印紙税とは、今では全く意味不明ともみられています。
そこで、正式な書類を作らずに、メモに留めるなどの工夫もされました。しかし、裁判の重要な証拠であり、契約社会においては、正式な書面を残さざるを得ません。この点に気が付くと、実は印紙税は重要な意味をもっていたのではないかと思い当たります。印紙を貼ることの当初の目的は、明治政府が、西欧の契約社会に向けて、重要な書類を残すことを奨励し、印紙を貼れば双方の合意文書として正式な証拠となることを制度として確立したものです。公証人役場での確認書類と同様な機能をつけたわけです。このように考えると、この財源は、契約社会のための費用だ、と説明がしやすいことになります。つまり、明治初期に、裁判制度を作るために、裁判所建設費用、裁判官の費用を賄うための目的税として成功したわけです。
しかし、裁判制度は、戦後の復興と共に確立し、所得税(法人税)などによる一般的財源により賄われるようになりました。また、訴訟の証拠についても、書類ばかりでなく、デジタル情報などが十分に採用されております。よって、時代の流れと共に印紙税を継続する理由は全くなくなったといえます。


