
社会への提言
再審無罪 抜本的改革を
袴田さんは、逮捕から58年経って、ようやく無罪とされました。余りに非人道的な警察と検察のやり方であり、裁判所の扱いも法の番人といえるものでありませんでした。私は、法曹の一員として、大変恥ずかしいし、責任も感じてきました。すなわち、私は、このような冤罪を生む司法を改革するため、相当な努力をしました。司法修習生の時には、取調修習を拒否し、冤罪防止のセミナーを開催しました。そして、刑事弁護教官は、刑事専門とはいえない弁護士であったので、無罪をとったことのある弁護士に変えるよう運動しました。刑事弁護士になってから、4件の無罪判決をとりました。誠に困難な仕事でした。弁護士50年になりますが、その間に、刑事法の改革に取り組み、更に法科大学院の設立により、教育を通じての人質司法の改革を進めました。今回の國井恒志裁判長他2名の裁判官による名判決は、まさに私を始めとする多くの法曹や学者の努力が実ったものであり、直ちに抜本的改革に取り掛からねばなりません。今や科捜研の皆様の高度な技術により、冤罪を防止できます。