社会への提言
謹賀新年 ―国連総会に期待する―
一昨年にロシアのウクライナ侵攻がはじまり、さらに、昨年には、イスラエルとハマスの戦争が勃発しました。そこで、このような世界の惨状を前に、新年にあたり、世界の平和に向けて、国連総会の役割に期待しています。日本は、今や、国連中心主義をさらに確固たるものにしていくべきです。今までは、国連は、安全保障理事会を中心に、運営されるものとされてきました。しかし、安全保障理事会では、第二次世界大戦の戦勝国の拒否権が認められています。その結果、一国でも拒否権を行使すると決議をできない状況が続いてきました。そのために、重要な案件で、決議が成立しない事態に陥り、国連が機能していないのではないかといわれてきました。ましてや、常任理事国のロシアが、戦争を始めるなどということは、まったくの想定外でした。しかしながら、現在では、国連総会の決議が成立するようになりました。昨年12月12日、イスラエルのハマスへの攻撃の停止、人質の解放などを求める総会決議をしました。日本は、今まで、米国と同じ態度をとり、決議に賛成しませんでした。今回は初めて、米国と異なる賛成の投票をしました。このように、多数決の決議を、何回も繰り返すことにより、審議が進展し、少しずつ良い結果を生むことになります。国連総会を中心に、国連の運営を行うことは、いわば常識的な結論です。安全保障理事会の拒否権を認める制度を改革するにも、このような国連総会の運営を通じて、拒否権を形骸化させていくことが重要といえます。日本を始め、多くの国が国連中心主義をさらに進めることにより、現在の世界の混乱を、安定的に収めることができると思います。