社会への提言
生活保護の運用 ―ガイドラインの活用―
弁護士事務所には、破産したり、被災したり、または離婚されたりして、生活にお困りの方が相談にお見えになります。その中でも、高齢者の方々も多くなってきました。私が「70歳以上になると生活保護をすぐ受けられますから、ご安心ください」と申し上げますと、ほっとした表情を見せられます。生活保護は、新憲法の生存権規定により創設されたものの、長い間、狭く厳しい運用が続いてきました。しかし、他方では、車を保有しないと生活ができない場所もあり、訴訟にもなり、少しずつ緩やかになってきました。他方で、親族にお金持ちがいたり、病気などの診断書に問題があるときにも、認めてよいのかとの批判も挙がりました。そのような中で、数年前に、生活保護を支給する側の公務員の職員の職務を紹介するドラマを拝見しました。職員の方々が申請者の方々に優しく接しながら、非常に悩まれている姿を見て、大変参考になりました。つまり、支給の決定は、一律にはいかないということが分かりました。過疎地では、車や自宅が必要、都会では電車賃や家賃が必要、親族に高額所得者がいれば却下、精神的病気については、医師を含む3人の委員で審査すること、場合により、期間も限定することなど細かいガイドラインを作成することが必要でしょう。