
社会への提言
国土交通大臣殿へ ―観光船沈没事故、繰り返さないために―
知床半島沖の観光船沈没事故では、悲惨な結果となりました。多くの尊い命が失われました。数年前の韓国のセウォル号事件が思いだされます。
事故をうけて、国土交通省は寒冷地で運行する船舶に備える救命器具を強化する、通信設備を整備する、船舶検査を強化するなどの方針を固めました。
しかし、日本全国で、地域ごとに様々な違いがあり、同省が全国一律に指導監督をできるとはいえません。同省の中で、安全対策を協議している有識者検討委員会で、一律に決定することはできないといえます。これについて、新聞報道によれば、同省は気象や海域など地域の実情に合わせた備えを急ぐ、地域性を考慮した検査項目を取り入れることも検討されているようです。 しかし、地域性に合わせたルールを決めるという基準によるならば、各地域の自治体や民間団体に細かくルールを決めさせることが良いでしょう。要は、法律や省令で、具体的なガイドラインの作成を下部機関や民間団体に委任するべきです。そうすれば、ガイドラインは、地域ごとに出先機関や自治体の行政ソフトローとして機能します。また、日本小型船舶検査機構の地方の支所や地域の業界団体の民間ソフトローによることもできます。これらのガイドライン(ソフトロー)は、すべて法的効力があります。そして、制裁は強いものから弱いものまで作れますので、柔軟にきめ細かく運用することができます。
つまり、下部の行政機関や民間団体に具体的なルールを作成させるのが、実情にあった適切なガイドラインを作る効率的方法なのです。逆に、地域性を考慮するといいつつも、国の機関がそれを細かく決めることはできません。同じ失敗を繰り返さないようにお願い致します。