
持続化給付金詐欺の横行 ―システムの改善を望む―
持続化給付金の詐欺が大きく報道されています。インドネシアでナマズ事業をしていた主犯が逮捕され、飛行機で移送されてきました。何と、税務署職員まで逮捕される事態に至っています。これこそがまさに雇用調整助成金も含めて氷山の一角というものです。山のすそ野が広がるように、莫大な数の詐欺が横行してきたということを示しています。公務員から見れば簡単には見つからない犯罪だと考えたわけです。昨年度の売上より今年度の売上が下がっていることは、書類を操作すれば簡単に作れます。発覚もしないだろうと考えたのでしょう。
そもそも、売上が減る場合にのみ請求できるとすれば、仕事を頑張らないで店などを閉めてしまうという誘惑に駆られてしまいます。開けて営業を頑張ってしまったら、お金が貰えません。そのような迷う人たちに対し、働きかけることが簡単であったという状況があります。それ故、このような悪質な人を介さなくても、自分で書類を改ざんして請求している人たちが沢山いるということになります。これをチェックして摘発することは、大変な作業になります。元々、詐欺にならないようにシステムを作るべきだったのです。私は既に2年前に、本コラムでこの詐欺の横行を予想して書いております。つまり、複雑で、詐欺の誘惑に駆られるシステムになっていることは当時から分かっていたのです。例えば、6ヵ月または1年単位で、赤字の事業者に支援金を出すというシンプルな方法があります。更に、コロナで店が休業した場合には従業員に直接国が補助金を出せば最もシンプルで詐欺になりにくいシステムです。
別の例としては、生活保護費の支給があります。病気や精神の不調で支給を受けると、原則として長期に継続されます。いつまでも治そうとしなくなります。しかし、生活保護費は、生活に困っているときに、迅速に出し、改善されたら減額したり停止する、また困ったら支給するのが良いのです。結論として、公的な支援金は、国民の働く意欲を高めつつ、主体性を維持させつつ、シンプルに詐欺をされないように臨時に出すことに限るべきです。