謹賀新年 ―AIを夢見る―
新年にあたり、初夢を見たかのような、しかし現実でもあるお話をさせていただき
たいと思います。周回バスが無人で運転されることが近いうちに実現されそうです。
車が接触しそうなときには、自動的に衝突防止ブレーキが働くようになります。また
、介護施設では、ロボットが作業をするようになるでしょう。ドラマ「ドクターX」
では、医師が診断する前に、まずAIが診断結果を話し、医師がこれに基づき治療を
しています。医療ロボットのダヴィンチは、前立腺での成功率が上がり、今では、心
臓の手術にまで至り、快進撃を続けています。もはや夢物語ではなく、私たちの生活
が大変便利になり、また交通事故なども確実に減少すると思われます。病気の診断や
治療も、確実で安全なものになります。
ところで、私の仕事である弁護士の業務や裁判については、そのような楽しい話は
ありません。ごく一部の研究者が、裁判の判決をAIで出すとか、判決予測をAIで
行うとの研究を始めていますが、遠い将来の夢のようです。ところが、このテーマに
ついて大晦日まで本の出版締め切りに追われ、書き上げた結論が正夢のようになりそ
うです。つまり、これからは、法律や政令の制定や改正については、AIで情報を整
理し、迅速にバランス良く進めることができることは間違いありません。法令を補充
する行政の規則、通達またはガイドラインについても同じく、AIによる整理作業を
進めることができます。多くの団体の定款、約款、ガイドラインなどについても
、AIによりそれぞれの団体の特質や地域の特性に合わせて作ることが期待できます
。法令はハードローと言い、ガイドラインなどはソフトローと言います。現在でもソ
フトローが多くなりつつありますが、かなり混乱状態になっています。AIにより多
様なソフトローが揃うならば、裁判はこれを利用して、迅速に簡単に結論を出せます
。そもそも良質なソフトローが充実すれば、人々はこれに従い、紛争や裁判も劇的に
減少するでしょう。