社会への提言
持続可能な社会に向けて(8)~地熱発電政策の転換~
小泉進次郎環境相は、自然公園での地熱発電の開発をしやすくする方針を明らかにしました。しかし、これまで環境庁の時代から、つまり、約50年前の地熱発電の調査が始まっ た頃から、自然保護のために、地熱発電の開発を厳しく制限してきました。地元の温泉業者や自然保護団体の意向を受けつつ、自然公園法や温泉法を遵守する立場をとり、環境保護の役割を果たしていました。ところが、原子力発電から再生エネルギーへの政策転換が始まり、環境省も約10年前から、法律の運用を緩和する方針に転換しました。しかし、自然保護の意見は継続して強く、地熱発電の推進の政策も進みませんでした。今回小泉環境相の声明は、英断として受け止められる一方で、環境省の役割放棄などとの非難もあがっています。
太陽光発電や水力発電など、それぞれに長所や欠点があります。原子力発電も含めて、分散投資と同じく、分散開発をすることが良いでしょう。つまり、リスクの分散をはかるということです。地熱発電に関しては、自然環境を維持しつつ、温泉観光との併存は可能といえます。硫化水素などの有毒ガスの効率的な無毒化の技術も進んでいます。このような状況をうけての環境省の転換といえます。時あたかも、自民党総裁選と衆議院解散選挙で、国民の間では、首相候補として、河野太郎大臣と小泉進次郎大臣があがっています。河野大臣が、原発反対派であり、小泉大臣は、父親の小泉純一郎元首相の影響をうけて、再生エネルギーの推進派です。国民は、社会を少しでも進めていく政治家を望んでいます。同じく、私は法律家として、法律を厳しく運用したり、緩やかに適用するかは、社会の変動に合わせてするべきであると言い続けています。