社会への提言
持続可能な社会に向けて(4)―新しい感染症対策―
欧州のペストなどの蔓延に対し、ロックダウン(都市封鎖)をしてきたやり方は、もはや古い方法と言わざるを得ません。緊急事態措置や蔓延防止措置は、広く一律に生活や事業を制限するものであり、古いロックダウンに似ております。このやり方は、経済や生活に著しい打撃を与えるものです。昨年、日本では、三密を回避すること、マスクをすることの方針が出され、大きな効果をあげてきました。しかし、決定的に重要な以下の具体的方針をとれなかったために、いまだに収束させることができない状態です。すなわち、サイエンス(科学)を十分に活用し、新しい方法をとるべきです。古い方法を引きずりながらではなく、これから脱却し果敢な検討や実行をするべきです。 ①検査と隔離:PCR検査・抗原検査・抗体検査をいつでもどこでも原則無料又は低額で行うこと。感染者と濃厚接触者を直ちに完全に隔離すること。 ②接触確認アプリ:全国民が、接触確認アプリを利用して、すべての情報を共有し、少しでも感染リスクのある場合には直ちに検査をすること ③ワクチン:ワクチンの生産・販売を最大化し、接種者の拡大をし、感染蔓延地域に集中させ、順次全国に拡大すること 上記①②③は、いまだに、進んでいません。その理由はなぜでしょうか。公共経済学では、民間にすべてを任せる場合には市場の失敗が発生し、行政にすべてを任せる場合には政府の失敗が生じるといわれています。すなわち、官民の協力、官民の分担が重要です。今回のように、行政がすべてを計画し、実行しようとすると、政府の失敗が生じやすくなるわけです。新しい感染症対策は、科学技術を最大限利用し、民間の活力を梃子にして、財源を効率的に投下していくことです。