柔軟なコロナ対策とは?―スーパーソフトロー的発想―
皆様も既にお気づきのように、コロナ禍の中で、平時の法令やガイドラインが次々と緩やかになっています。例えば、出社しなくてよいとの在宅勤務、オンライン診療などです。世の中の状況の変化に合わせて、ルールを緩やかにしましょう、例外を広く認めていきましょうということです。私は長い間、このような考え方を広めるため、通達やガイドラインのソフトローの柔軟な活用を普及するように、出版や講演会で説明してきました。今回有無を言わせず、実現できたことは、まさに私の考え方の正しさが証明されたといえます。 しかし、さらに、スーパーソフトローというべき、もっと進んだ考え方をもつ必要があり、これを皆様が理解すれば、「スッキリ」、「ガッテン」すると思います。既に体験されているように、コロナ退治のために生活や外出の制限は必要となります。go toトラベル、go toイートなどの経済活動はこれと真っ向からぶつかりました。法令やガイドラインは、原則はA、例外はBと記載し、運用します。しかし、生活制限と経済活動は、コロナの広がりや勢いが強い状況から弱い状況へ、2:1、1:1、1:2と量的に変化せざるを得ません。また感染ルートを追跡するアプリの導入でも同じです。追跡のための情報収集は、強制的なほど、効率的で効果的です。コロナ対策に効果的なほどに個人情報保護は危うくなります。この問題も同じく、コロナの蔓延の程度により、人権の強い制限から弱い制限へと、量的に決めることにならざるを得ません。どちらかを原則や例外にできず、世の議論も混乱しているのも無理もありません。法律家といえども、今まで扱ってこなかった新しい課題です。しかし、結論は簡単です。皆様自身で判断すればよいのです。コロナの蔓延のときに、経済活動を抑制し、下火になるにつれて、活発化すること、同じくコロナアプリの場合でも、その必要に応じて個人情報保護を放棄することになります。このようなスーパーソフトロー的考え方は、法的強制力になじまず、人々の自主性によるものです。全員参加の意識をもってすれば、良い意味での社会の同調圧力となり、良い成果が得られるといえます。