コロナ対策と共に、社会の品位の向上へ
前月号のこのコラムで、風俗営業でのコロナ対策を強化すべきであり、そのためには風俗営業法を大いに活用して取り締まりをすべきと主張しました。その効果があったのか、数日前に、菅官房長官は記者会見で「夜の街に現行法適用拡大」、「風営法で立ち入り調査」などを行うと報道されました。新型コロナの第二波が来つつある時、リスクの高い場所に集中して、対策をとるのは、的を得ています。しかし、まだどのように厳しくするのかはっきりしていません。そもそも日本の風俗営業法の取り締まりは平時から緩いために一向に進まないのです。そこで参考までに、今までの欧米の長い取り組みを紹介しましょう。大きな流れは、風俗営業の店の経営を禁止したり、従業員を搾取することを処罰するように進んだことです。つまり、経営自体を制限したり、違反したら経営者を罰するようになりました。他方で、風俗営業に従事する女性を保護し、生活援護をし、感染症などの検査も義務づけるようになりました。女性達を罰しないで、教育により改善する運動が起こり、その成果が上がっていきました。この運動を指導したのは、ヨーロッパではナイチンゲールと並ぶほど有名なバトラー婦人です。彼女の功績は現在の多くの国際機関に受け継がれています。このような歴史を参考にすれば、日本の今回のコロナ対策でもほぼ同じ政策が有効です。店の経営は厳しく禁止または制限するようにすべきです。店に休業補償を出すなどはもってのほかです。他方で、女性の生活支援、教育、感染症の検査は必須と言えます。最後に付け足せば、夜の街関連に限らず、検査といえば、今や抗体検査が最も簡易で有効と言えます。感染後4~5日間IgM抗体が出れば発症を確認できるし、その後IgG抗体が上昇すれば、感染歴を知ることができます。以上によれば、思い切った対策をとるべき時期に来たと言えます。